米国のダッジが、フルサイズSUV「デュランゴ」の2026年型で、3.6リッターのV型6気筒エンジンを廃止して5.7リッターV8エンジンへ切り替えると発表した。これにより馬力とトルクは増大し、0-60マイル/h（約96km/h）加速が6.2秒、牽引力が40％増大するとしている。

発表では走行性能や牽引性能の向上を狙った仕様変更であると説明されている。背景には政策面での変化があるとされ、現在のトランプ政権下での規制見直しが影響している。

新たな減税・歳出法の成立により、運輸省道路交通安全局（NHTSA）は、2022年型からの3年間における違反に対し、自動車メーカーに罰金を科さないこととし、さらにCAFE制度（燃費規制）の適用見直しに取り組むことになった。

こうした方針はエンジン車の生産をしやすくすると同時に、化石燃料を使う既存産業の優遇や、電気自動車（EV）の販売に対する逆風につながる可能性が指摘されている。

一方で排気量の増大が必ずしも燃費悪化を招かない例もあり、ハイブリッド車（HV）ではトヨタのプリウスが1.5リッターから1.8リッターや2リッターへ排気量を増やしつつ燃費性能を改善してきた事例が紹介されている。

そのため今回の変更は単純に燃費だけで評価できない側面があるとみられる。ダッジの決定は自動車メーカーと規制政策の関係を浮き彫りにするニュースであり、デュランゴの2026年型が市場でどのように受け止められるかが注目される。