東京都葛飾区・新小岩の『中華料理 五十番』は昭和40年創業の町中華である。外観は昔ながらの佇まいで店内はテーブル席のみのシンプルな構成だ。清掃が行き届いた清潔感とベテランのご主人、熟練スタッフの落ち着いた接客が印象的である。

名物の「オムライス」（850円）は、最近流行のふわとろ系ではなく、薄焼き卵でライスをくるんだ昔ながらの王道スタイルで提供される。中のライスはチキンではなく豚肉の旨味をしっかり感じるポークライスで、ケチャップの酸味は控えめだ。ラードの香ばしい風味が鼻を抜け、強火の中華鍋で一気に炒めることでパラッとしつつもしっとりした食感に仕上がっている。

餃子（350円）は焼き面が香ばしく中はふんわり、餡は野菜多めで軽やかに食べられるためタレなしでも美味しい。提供は早く、ランチ帯は学生、会社員、おひとりさまなど幅広い地元客で賑わう。ラーメン400円という良心的な価格設定も、地域に根ざした支持を得る一因となっている。

派手さはないが日常の幸福を感じさせる一軒であり、懐かしい町中華の味を求める人に薦められる店である。