『ジョジョの奇妙な冒険』第1部では、ジョナサンとディオの対立が物語を加速させ、ディオが石仮面の力で不死身の吸血鬼へと変貌する。吸血鬼となったディオは人々を屍生人（ゾンビ）に変え、その勢力を瞬く間に拡大していく展開である。

物語には強烈なホラー描写が多く、特にウィル・A・ツェペリの最期は読者に強い衝撃を与えた。飄々とした波紋の師であったツェペリは、タルカスとの一戦で予言めいた死を悟り、果敢に挑むもののタルカスの鎖で胴体を真っ二つにされるという苛烈な最期を迎える。

ツェペリは最後までジョナサンに力を託し、その遺志は物語に大きな影響を残す。また、屍生人に変えられた者たちの描写は男女問わずおぞましく、登場人物の一場面では幼い赤ん坊を抱く母親がディオに救いを懇願する場面も描かれる。ディオが子どもには手をかけないと約束するやり取りは、読者に衝撃を与えた。