朝日新聞のテレビ担当記者による恒例の座談会で、地上波のゴールデン・プライム帯を中心に連続ドラマの初回を見て採点し、ランキングを作成したという報告である。座談では複数の記者が感想を述べ合い、今期のドラマ群を改めて検証した点が紹介されている。

話題作の中で、脚本家・岡田惠和の新作『小さい頃は、神様がいて』が4位の同点グループの一作として取り上げられた。作品はマンションに住む三つの世代の住人を舞台にしており、渉（北村有起哉）とあん（仲間由紀恵）の夫婦はかつて「子どもが20歳になったら離婚する」との約束を交わしていたという設定を持つ。

その約束が物語の緊張感を生み、善人だが気が利かない渉の人物描写や、仲間の演技が同世代の視聴者の共感を誘う点が指摘されている。三階建ての住居設定では一階に慎一（草刈正雄）とさとこ（阿川佐和子）、二階には若者世代の奈央（小野花梨）と志保（石井杏奈）のカップルが暮らし、多様な関係性が丁寧に描かれている点も評価された。

また、ある嵐の夜に近くの川が氾濫しそうになる場面が離婚を思い出すトリガーとして機能することや、松任谷由実の「やさしさに包まれたなら」からタイトルが取られていること、山田太一の『岸辺のアルバム』を想起させる表現が議論に上ったことが伝えられている。記者たちは旧来型の家族や枠組みを問い直すような関係性への関心を示し、今期の連続ドラマ群を「豊作」と評している。