2004年にリリースされた一青窈の名曲をモチーフに、土井裕泰監督が映像化した映画『ハナミズキ』は2010年に公開されたラブストーリーである。主演は新垣結衣と生田斗真が務め、北海道の漁師町を舞台に若い二人の出会いと成長が描かれている。

物語は漁師の父のもとで暮らす水産高校生の康平（生田）が、電車で出会った高校生の紗枝（新垣）と関わるところから始まる。電車が止まったことがきっかけで康平は仮免許で無理に車を運転して事故を起こし、警察に連行され高校は停学となる。

紗枝は当初大学の推薦試験を受ける予定であったが推薦が他の人に決まり迷いが生じる。康平や母・良子（薬師丸ひろ子）の励ましで紗枝は一般受験に挑戦する決意を固め、二人は恋に落ちるもののやがて遠距離恋愛となる。

時間が経ち、志望校に合格して東京へ向かった紗枝と康平は距離によるすれ違いを経験する。遠距離の最初のクリスマスに、東京で康平が紗枝が大学の先輩・北見（向井理）と親しげにしている場面を目撃する場面など、恋の葛藤と成長の過程が丁寧に描かれている。新垣は高校生から大人へと変化する紗枝の内面を静かに体現している。