『銀魂』の長編シリーズは物語の核を成すシリアス回が多く、感情を揺さぶる展開が特徴である。中でも「吉原炎上篇」はアニメ第139話から146話で描かれ、夜王・鳳仙との壮絶な戦いが軸となる。

鳳仙はかつて宇宙最強の戦闘民族・夜兎族の頂点に立った男で、吉原を力と恐怖で支配し、花魁・日輪に対する執着から彼女を地下に監禁した。作品内では鳳仙が日輪に太陽の面影を重ねる描写があり、ぽっと出の人気キャラクター・月詠が初登場するシリーズでもある。

吉原で育った少年・晴太は日輪が母だと信じ、銀時の財布をすってしまうが、晴太の事情を知った万事屋一行は日輪に会わせるために奮闘する。激しい戦闘の前に銀時が倒れる場面もあるが、神楽や志村新八、晴太の尽力で天井が開き、太陽のもとに投げ出された鳳仙の肉体は日輪に見守られながら朽ちていく。

また「一国傾城篇」はアニメ第257話から261話で放送され、かつての伝説の花魁・鈴蘭が万事屋に人探しを依頼する物語である。鈴蘭が探していた相手は“じいや”こと六転舞蔵であり、調査の過程で先代将軍・徳川定々と敵対、朧の登場など切なく美しい展開が続いた。

いずれの章も激しいバトルと人物のドラマが同居し、多くの視聴者にとって号泣必至の名場面が生まれた回として語り継がれている。