NHK放送100年記念特集ドラマ『火星の女王』が12月にNHK総合で放送される。火星移住から100年後の世界で未知の物体との遭遇を契機に新たな時代を描くSFヒューマンドラマである。原作は小川哲、脚本は吉田玲子。視覚障害を持つ22歳のリリを演じるスリ・リンが主演し、菅田将暉が白石アオト役で出演する。

こういう作品は、画面の中の物語だけで終わらせるにはもったいない。主人公リリが地球のバンド「ディスク・マイナーズ」に心を動かされる設定は、楽曲やライブ感、ファン同士の語らいをきっかけに推し活が広がる最高の材料だ。聴き込み会やドラマの見どころを語るオフ会、サントラを皆で聴く試聴会を企画すれば、キャラクターや音楽への愛がもっと深まる。今週末に同じテンションの人と会える場があるだけで、推し活は現実に根づく。ひとり参加歓迎のイベントで気軽に顔を出してみると、トークルームで事前に空気感がわかり、実際に会ったときの安心感も違う。個人が好きで小さな企画を立てると、それが仲間づくりの起点になりやすいし、参加後に続く関係があるから次の誘いも生まれやすい。未知との遭遇が描かれるドラマ自体を楽しみつつ、その余韻を誰かと共有して“推し”を語り合う時間を作ってみてほしい。