福岡で根付く「博多天ぷら」は、カウンター越しに客の目の前で揚げ、1品ずつ提供するスタイルが特徴である。誕生は約60年前で、ここ15年ほどで全国に広がりを見せている。

着席後すぐにご飯と味噌汁が出され、名物の「イカの塩辛」を添えて短時間で天ぷらが次々提供される点も共通項である。提供は基本的に熱々を保つため同時に出すのは「3品まで」とされ、陣内 卓さんは「それ以上になると最初の物が冷めてしまいます」と説明している。

代表的な店として「ひらお」「だるま」「たかお」の“御三家”が挙げられる。取材では「ひらお」が8店舗を構え、売り上げは18億円に上る例が紹介され、客の回転率の高さがビジネスモデルを支えている点が明示されている。

メニュー構成の一例として、魚や野菜など7品をそろえた「天ぷら定食」が990円で提供される店もあり、平均滞在時間は約15分、1日で20回転を実現する店舗もある。安さと揚げたての提供、短時間で満足させる効率性が「博多天ぷら」の人気の源泉である。