秩父神社の例大祭「秩父夜祭」を前に、屋台芝居に向けた稽古や設営準備が本格化している。市内4町のうち中町が今年の当番で、屋台を広場に止め両袖を張り出すと華麗な歌舞伎舞台に早変わりするのが特徴である。

出演団体の一つ、秩父歌舞伎正和会（しょうわかい）のメンバー二十数人は20日に通し稽古を行い、演出や立ち回りの確認に時間を割いて本番に備えている。演目は派手な立ち回りが多い「菅原伝授手習鑑吉田社頭車引之場」である。

ベテランに混じって中学1年の中務（なかつかさ）智就（ともなり）さん（13）も初舞台に臨み、懸命に動きを合わせた。坂本益義会長は「後継者育成に力を入れてきた。感動的な芝居を届けたい」と期待を述べている。

舞台を提供する中町町会も屋台の組み立て作業を進め、豪華な装飾を施した屋台が姿を見せ始めている。町会行事長の清野豊さんは「屋台を中心に左右に広がる舞台の様子も、存分に楽しんでいただければ」と話した。

屋台芝居は前回2019年の上演以来、コロナ禍で中断しており今回は6年ぶりの上演となる。上演は宵宮の12月2日18時〜21時と大祭の3日10時40分〜14時に旧ベスト電器ヤオ秩父店前で行われる。問い合わせは秩父観光協会（0494・21・2277）である。