秋田県大館市の老舗駅弁屋「花善」が看板商品「鶏めし弁当」を海外で展開し、フランスやスイスでも人気を集めているという。鶏のだしで炊いたご飯に甘辛く煮た鶏肉をのせるというシンプルな構成で、冷めてもおいしい点が特徴である。

「鶏めし弁当」は1947年の発売以来、レシピはほとんど変えておらず、1日に何度も味見を繰り返すなど職人が季節や湿度、素材の状態を見極め調整を続けている。花善は1899年に大館駅の開業に合わせて「花岡旅館」の弁当部として始まり、看板商品の歴史は戦後から続いている。

花善8代目社長・八木橋秀一は、駅弁は「旅の思い出」を売るものであり、単に味だけを追求しすぎないことが重要だと語っている。大館名物「鶏めし弁当」は990円（税込）で提供され、JR東日本主催の駅弁コンクール「駅弁味の陣」で2015年に最高賞の「駅弁大将軍」に輝いた実績がある。

海外での評価を受けて、地方の小さな駅弁屋がどのように“世界ブランド”を築いたかが注目されている。現場での粘り強い試行錯誤と、味の記憶を大切にする姿勢が海外の顧客にも響いたことが背景にあるという。