2025.11.16

蔦重の暗い横顔が示した転機

2025.11.16

キービジュアル 出典: realsound.jp

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NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第43回「裏切りの恋歌」のラストで、蔦重(横浜流星)の打ちひしがれた暗い横顔が強い印象を残した。失ったものの大きさがその表情に刻まれており、物語の重みを増している。

劇中では妻・てい(橋本愛)が授かった我が子の存在と、絵師の歌麿(染谷将太)からの突然の決別宣言が描かれ、蔦重の置かれた立場や人間関係の変化が浮き彫りになった。歌麿の内面と蔦重との距離感が今回の回の軸となっている。

蔦重こと蔦屋重三郎は幼少期に親と生き別れ、吉原の引手茶屋を営む駿河屋市右衛門(高橋克実)の養子になった過去が明かされる。何も持たない出自から、女郎たちや町のために知恵を絞り出版を通じて人を呼ぶ行動力を発揮する様が描写される。

本作では蔦重が“江戸のメディア王”として台頭する過程と、その志が周囲を照らすエネルギーとして表現されている。行動力や先を見通す視点と、恋心に気づかない鈍感さが同居する人物像が細やかに描かれ、登場人物たちの関係性に深みが加わっている。

横浜流星は憂いを帯びた表情や影のあるキャラクターが似合う俳優として知られており、直近の映画『国宝』での大ヒットにより演技力が広く認められている。蔦重役は意外な挑戦ともいえるが、丁寧に役と向き合う演技が作品の中で際立っている。

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