俳優・津田健次郎がこの秋、朝ドラ・大河・日曜劇場という日本の主要ドラマ枠を横断して相次ぎ登場している。NHK連続テレビ小説『あんぱん』では、ヒロイン・朝田のぶ（今田美桜）と柳井嵩（北村匠海）の高知新報時代の上司・東海林明を演じ、物語終盤では歳老いた姿も含めてのぶと嵩の支えとなる言葉を残した。

大河ドラマ『べらぼう』では第40回から滝沢瑣吉（のちの曲亭馬琴）として登場し、歴史劇の中でも存在感を示している。現在放送中の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』では「東日スポーツ」に所属するフリーライター・平良恒明を演じ、栗須（妻夫木聡）や山王耕造（佐藤浩市）らの動きを見守る客観的な立場として機能している。

声優としての長いキャリアを持ち、変幻自在な演技力が俳優起用の背景にあると評される。『ザ・ロイヤルファミリー』での競走馬報道に見られる飄々とした態度も軽々しさがなく、作品に独特の重みを与えている点が特に指摘されている。こうした幅広い表現力が、54歳という“遅咲き”の俳優として今改めて求められている理由であると分析されている。