NHK大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』第41回「歌麿筆美人大首絵」は、蔦屋重三郎（横浜流星）の変化を前面に描いて幕を開ける。冒頭では『三国通覧図説』の件で「身上半減」の処分を受けた須原屋（里見浩太朗）を蔦重が訪れる場面が登場する。

蔦重は「目にもの見せてやりましょう。身上半減なんてしたって無駄だ。俺たちゃそんなことでへこたれねえ。何度でもよみがえるって」と意気込みを見せるが、近頃はかつての「冴え」が感じられない描写が続く。松平“越中守”定信（井上祐貴）を過度に意識するあまり視野が狭くなっている様子も指摘される。

白洲での対面では詭弁じみた応酬に至り、妻・てい（橋本愛）から「己の考えばかり……」と打擲される場面もあり、周囲の視線が冷ややかになっている。だが蔦重は落ち込むだけでなく、書物問屋の株を買い耕書堂で書物流通を模索するなど再起を図る。

戯作が難しいと判断すると次は錦絵に活路を見いだし、歌麿（染谷将太）を口説き落として『婦人相学十躰』の出板を企て、通常使わない雲母を用いた「雲母摺」を検討するなど、新たな戦略を進めている。