映画『盤上の向日葵』の本編映像が解禁され、上条桂介（坂口健太郎）と賭け将棋の真剣師・東明重慶（渡辺謙）が魂をぶつけ合う対局シーンが公開された。

本作は2018年本屋大賞第2位となった柚月裕子の同名小説を実写化したヒューマンミステリーである。釜山国際映画祭のワールドプレミアでは屋外メイン会場に集まった4500人の観客からスタンディングオベーションを受けたという。

本編映像では、桂介が誘われて勝負に臨み、「のってやる」と力強い眼差しで答える場面が切り取られている。静寂の中で一つ一つの駒を指す音や表情の細部が丁寧に映され、魂と魂がぶつかり合う“盤上の死闘”と呼ぶに相応しい緊張感が伝わる。

東明が桂介に向けて「俺はダメだったが、お前ならプロになれる。プロになれ」と語り、桂介が「約束する」と受け取る場面も描かれる。桂介は天才棋士としての輝かしい一面の裏に、酒とギャンブルに溺れる父・上条庸一（音尾琢真）との極貧生活という壮絶な過去を抱えている。

しかし唐沢光一朗（小日向文世）や宮田奈津子（土屋太鳳）らの存在が彼の人生に光をもたらし、演者陣の細やかな表情演技に鑑賞者から絶賛の声が上がっている。制作側は将棋を知らない観客にも楽しめることを大切に撮影しており、公開が迫る中での映像解禁はさらなる注目を集めている。