第113作目の連続テレビ小説「ばけばけ」が9月29日から放送を開始した。第1話冒頭では高石あかりが演じるヒロイン・トキが夫のヘブン(トミー・バストウ)に怪談「耳なし芳一」を語る場面が描かれ、庭先から見守る蛇と蛙を阿佐ヶ谷姉妹がコミカルにナレーションする構成が印象的である。

作品は松江の没落士族の娘・小泉セツとその夫で小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)をモデルにした物語で、写真家・川島小鳥が撮影した二人の写真にハンバート ハンバートの主題歌「笑ったり転んだり」が重なるオープニングが好評である。

1週目は没落した父・司之介(岡部たかし)のウサギビジネスの失敗から貧乏暮らしに転落する様子や、具材の正体が話題になった「しめこ汁」など、怪談要素を交えた描写が続いた。物語は幼少期から大人期へと移り、借金を抱える状況の中でトキが前向きに生きる姿が描かれている。

板垣李光人は松江藩の上級武士だった雨清水家の三男・三之丞を演じる。家督を継がないため居場所がなく、父・傳(堤真一)が営む工場に入り浸るおぼっちゃんという設定で、飄々とした雰囲気と内なる葛藤が同居する役どころである。トキの縁談相手として父と共に商いをする中村守道(酒井大成)らも登場し、今後の人物関係や展開に注目が集まる。