本記事はBKBことバイク川崎バイクがルミネ楽屋での出来事をもとに綴った短編「バイク少年の楽屋事件簿その13」である。物語はルミネの楽屋を舞台に、ミキ、インポッシブル、マユリカ、広島芸人のメンバー、ヘンダーソンらの顔ぶれを描き出す。

バイク少年が楽屋を見回し「しかし……既婚者が多くなってきたな」とつぶやく場面がある。彼は今年で46cc(46歳)と記され、芸歴の長さゆえに周囲の変化を実感している描写が続く。

劇中では11人中、3人だけが独身であることが明示され、既婚者の増加は飲み会や昼食の誘いに影響を及ぼす具体例として「朝、子どもと食べちゃいました」という台詞が引用される。そうした変化を前にバイク少年は漠然とした将来の不安を抱えつつも、ケツに火がついているほどではない心情を示す場面がある。

登場人物の一人、マユリカの中谷ココロにバイク少年が結婚について尋ねる場面も描かれ、会話を通じて個々の価値観や現実感が立ち上がる。記事は楽屋という閉ざされた空間が人をおかしくさせる要素を孕むと論じ、芸人社会の変化と個人の孤独や温かさを静かに掬い上げる構成である。