『国宝』は、国宝の境地に立つために互いを凌駕しなければならなかった2人の男性の生涯をかけた物語である。公開時に発表されたティーザーポスターには、父を目の前で失い歌舞伎の世界に放り込まれた少年・喜久雄役の吉沢亮の姿が収められている。コピーには「この世にただ一つだけの存在へ」と掲げられ、劇中で国宝の境地に達するため生涯を捧げる主人公の姿を想起させる。

日本での公開は102日目にして1000万人の観客を動員し、興行収入は『踊る大捜査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ！』（2003）に続いて実写映画興行収入第2位に位置づけられた。原作は吉田修一が手がけ、監督は李相日が演出を担当している。キャストには吉沢亮、横浜流星、渡辺謙らが名を連ね、注目の若手・黒川想矢も参加している。

制作陣も豪華で、美術を種田陽平、撮影をソフィアン・エル・ファニが務めている。こうした布陣が作品の完成度を高め、多くの観客を惹きつけたことが本文で伝えられている。