『5th TOUR 2025 "Addiction"』は、櫻坂46のライブ表現の到達点を示したツアーである。東京ドーム3DAYSや京セラドーム大阪といった大規模会場での公演を経て、パフォーマンスの密度と演出のスケールが際立った。

筆者は7月24日の東京ドーム初日を現地で、8月24日の京セラドーム大阪公演ツアーファイナルを配信で観ている。両公演はいずれもMCを最小限に抑え、曲間のアレンジで流れをつなぐ構成が貫かれていた。

特徴としてアクロバットチームやサーカス団の導入と、ダンストラック化したアレンジが挙げられる。本編終盤の「UDAGAWA GENERATION」「何歳の頃に戻りたいのか？」「もう一曲 欲しいのかい？」「承認欲求」「Make or Break」といった楽曲の畳み掛けは、観客に強い印象を残した。

演出を務めた野村裕紀氏はこの構成を「ノンストップライブ」と名付け、アルバム『Addiction』の構成が舞台にも反映されていると説明している。記事はまた、メンバーが演出に能動的に関わるようになったことや個々の成長がチームの一体感につながっている点も指摘している。

比較の文脈では＝LOVEやモーニング娘。'19の事例も挙げられ、この形式が櫻坂46にとってひとつの「型」になり得る可能性を示している。大規模ドーム公演での表現力の更新が、今後の活動にどう影響するかが注目される。