2025.9.13
2025.9.13
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK日曜夜8時に放送され、主人公は蔦屋重三郎(横浜流星)である。第34話「ありがた山とかたじけ茄子」では、老中首座となった松平定信(井上祐貴)の登場が中心に描かれる。
定信は天明7年6月19日(1787年8月2日)に幕閣で所信表明演説を行い、「田沼病」を治すため享保の世に倣うべきだと主張した。演説では「武士は文武に努め世を守り、百姓は耕作に努め世を支え、そのほかの者は世に尽くすべし」と各身分の役割を強調する場面がある。
一方で演説の場面では11代将軍・家斉(城桧吏)が羽織紐を弄り、将軍父・治済(生田斗真)はあくびをかみ殺す描写があり、田沼意次(渡辺謙)は既に政界から離れていることが示される。市中では読売が定信礼賛の報道を展開し、白河藩産の米持ち込みなどを伝えて若きリーダーへの熱狂が広がる。
読売には凛々しい少年姿の定信が田沼家の家紋・七曜をつけた獣を懲らしめる絵で描かれ、定信人気は短期間で神格化の域に達している。定信の世論誘導の成功は水野為長(園田祥太)の「読売に提灯持ちをさせたのは大当たりでございましたね!」という台詞にも象徴される。
本回は蔦屋重三郎を取り巻く人物群、狂歌師・大田南畝や平賀源内らの反応を交えつつ、表現規制や報道による世論操作が江戸の政治風景を揺るがす様子を描いた回である。
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