愛知・豊橋の路面電車で運行されるグルメ企画「おでんしゃ」は、車内であたたかいおでんと地酒を楽しめる乗車イベントである。1955年製の昭和レトロな車両を使い、約19年にわたり週末中心に運行されており、予約開始とともに満席になることが多い。車内は屋台のような飾り付けで、地元の練り物や地酒を組み合わせた構成が特徴である。

見解・考察（好きなものを外で楽しむ視点）

寒い夜に、あつあつのおでんと地酒を列車の揺れとともに味わう時間は、そのまま“会いに行く趣味”の完成形のように感じる。会話のきっかけが自然に生まれる設計になっているため、ソロ参加でも場に溶け込みやすく、初対面同士がすぐに仲良くなる瞬間を何度も見かけるだろう。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。

昭和の車内装飾や地元食材の組み合わせは写真映えし、SNSで共有することで次の輪が広がる。予約が取りづらい人気企画だからこそ、早めに予定化して仲間を誘うのがコツだ。数人で行ってそれぞれの“推し具”を語り合ったり、帰りに近くの居酒屋で延長戦をすることで、イベント参加がただの一回限りの思い出で終わらない。今週末に同じテンションの人と会える場があるだけで、推し活は現実に根づくし、一人参加歓迎の場があると、“好き”を外に出す一歩が踏みやすくなる。

列車という非日常のステージで味わうおでんは、単なる食事以上の体験になる。地域の味に出会い、人と話し、次の企画を自分で立てる──そんな連鎖をつくれば、冬の“推し活”がぐっと楽しく、長く続いていくはずだ。