山と溪谷社から刊行された『からだをつくるこの一杯　毎日の発酵×薬膳スープ』が、グルマン世界料理本大賞2025の発酵部門でグランプリを受賞した。本書は二十四節気に合わせた60種のスープレシピを収録し、ありあわせの食材で手軽に作れる点や麹を使った大竹流調味料の作り方も掲載している。著者の大竹宗久氏は国際薬膳師・中医薬膳師で発酵食料理研究家として活動している。

受賞のニュースは、薬膳や発酵を日常の習慣に落とし込むヒントが評価された証だと受け止めてほしい。趣味としての薬膳は、専門知識を学ぶだけで終わらず、季節ごとに“作って食べて共有する”ことでぐっと深まる。たとえば二十四節気を軸に「今月の一杯」を決めて月イチで友人を招いて試食会をするだけで、レシピの解像度が上がる。麹を使った調味料づくりは、週末ワークショップや少人数の持ち寄り会にぴったりで、作る過程で話題が尽きない。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。初めてでも一人参加歓迎の場があると“好き”を外に出すハードルが下がるし、近場で今週末に同じテンションの人と会える場があるだけで、推し活や趣味活は現実に根づく。レシピをただ眺めるだけで終わらせず、味のメモや写真を共有して次の約束につなげると、薬膳は暮らしの中で続いていく趣味になるはずだ。