マカロニえんぴつはデビュー10周年を迎え、6月に横浜スタジアムでインディーズ曲を中心とした初日とメジャー曲中心の2日間ワンマンを開催した。ニューアルバム『physical mind』はバンドの生々しさを前面に出す意図で、録音テイクを最小限にし、完璧さよりも熱量や息づかいを残す手法を採った作品である。ドラマ主題歌「パープルスカイ」など激しさを増した楽曲も収録されている。

見解・考察（楽しみ方の提案）

10年というキャリアを「その時の思いごと」で刻み、それをあえて整えすぎず出す決断。推しとしては、完璧な音像だけを求めるよりも“ライブの余韻”や“録音に残された息遣い”を愛でる楽しみ方がぐっと深まる。例えば『physical mind』を初聴きする瞬間を「ライブ再現リスニング会」として仲間と共有してみるのはどうだろう。セットリストを分けた横浜スタジアムの二日間の趣向を真似て、インディーズ曲とメジャー曲で部屋の雰囲気を変えるだけで、楽曲の表情が全く違って聞こえるはずだ。

歌が少し揺れる箇所や息切れも含めて「好き」と言える空気は、一人で眺めるより語れる相手がいるとさらに拡張する。今週末に一人参加歓迎の小さな集まりを開いて、アルバムの好きな瞬間を10秒ずつ持ち寄るような遊び方なら気軽に始められる。ライブで培った“体感”を大切にする彼らのアプローチは、推し活を現実の時間に落とし込む絶好の口実にもなる。自分で聴きどころをテーマにしたリスニングイベントを立ててみたり、ライブで映像化される瞬間に向けて友達と“熱量の共有”を予定化すれば、ただ曲を聴くだけの時間が誰かと語り合う体験へと変わる。

また、歌の荒々しさや生音の迫力はカラオケでの選曲やバンドコピー会にも取り入れやすい。完璧な再現を目指すより「その熱量を出すこと」を目的にすると、初心者も参加しやすくなるし、推し友の輪も広がる。好きなものは、会って語り合うことで深まる。マカロニえんぴつの今作は、そのきっかけ作りにぴったりの“生の温度”を提供してくれるだろう。