北海道電力は、水力発電所のトンネル内に保たれる一定の温度環境を活用し、スパークリングワインの熟成実証に取り組むと発表した。北海道大学を中核とする「北海道ワインプラットフォーム」と連携し、北海道のワインづくりにおける新たな可能性を検証する目的である。

同社の事業共創推進室は、北海道の強みを生かして課題解決に寄与する新規事業の創出を進める一環として今回の取り組みを位置づけている。取材では、北海道大学 大学院農学研究院の曾根輝雄教授と、北海道電力 事業共創推進室 事業共創グループ担当課長の小関綾子氏が、狙いや背景を説明した。

「北海道ワインプラットフォーム」は2022年4月に設立された産学官金連携のワイン産業支援組織で、大学・行政・金融機関・研究機関などが参画している。人材育成、経営支援、マーケティングやぶどう農園のツアー、講座運営など多彩な支援を行い、地域全体の底上げを図っている。

同プラットフォームは、ぶどう栽培やワインづくりに関するデータ収集・分析にも注力し、その成果を「ワインレポート北海道」として整理している。2025年夏からはメールマガジンで一般向け情報配信も開始し、参入希望者への講習会や相談窓口の機能も提供している。

北海道大学は寄付講座「ヌーヴェルヴァーグ研究室」などの教育研究体制を整備し、2023年9月に「北海道ワイン教育研究センター」を設立した。これらの研究基盤と安定したトンネル環境を組み合わせ、熟成プロセスの検証を通じて地域ワイン産業の新たな価値創出を目指している。