「暮ラシカルデザイン編集室」の沼尻さんは、千葉の魅力を伝えるために雑誌『こんにちば』を創刊した。雑誌は書籍にない柔軟さがあるとし、これまで自身が執筆してきたスタイルを変え、複数の執筆者を迎えて多角的に千葉を紹介する編集方針に改めた。

その活動の一環として勝浦朝市で本の屋台を開き、製本作業を実演した。朝市では印刷紙を裁断し、小冊子をつくって本体と合体、全98ページをゴム紐で綴じる工程を披露したという。

初版は1500部で、流通は大手書店よりもカフェや美術館、個人経営の書店が中心である。沼尻さんは製本のために千葉のゴム紐メーカー「東越」へ発注するなど、細部にもこだわっている。

また既刊には『房総カフェ』『房総のパン』『BOSO DAILY TOURISM』などがあり、パン店では滞在時間が短いため本の販売が難しいといった課題も共有されている。地域の暮らしや生業を伝える小さな出版社の実践が、朝市という場を通じて具体的に示された。