2025.11.16

ブロンズ像の原型が明らかに

2025.11.16

キービジュアル

報知映画賞のブロンズ像のライオンは、和田誠が陶芸で作った作品がモデルになっている。和田誠は第9回(1984年度)で初監督作「麻雀放浪記」(主演・真田広之)により新人賞を受賞し、自作のブロンズ像を受け取ったという特異なエピソードが残っている。

平野は「よく覚えてますよ。和田さんが『ブーメランだ、ブーメランだ』と言って喜んでね」と当時の様子を語っている。その像は和田の母校である多摩美術大に大事に保管されている。

ブロンズ像を第1回(76年)から手がけてきたのは松本徽章工業で、同社は明治創業、メダルやバッジ製造で長い歴史を有する。土台に使用されているのは大理石で、将来の資源枯渇が指摘される中、同社は一度土台を木製にする提案を行ったが、報知側は「この重さが大事なんです。大理石のままでお願いします」と応じた。

報知映画賞の発案者の一人である中島高男は「最初の形を変えてしまっては、和田さんに対しても失礼だ、という気持ちもあったでしょう」と述べている。第40回(2015年)の主演女優賞など3度の受賞歴がある樹木希林はトロフィー類を手元に置かない主義で、大理石を切り離し、ライオン部分と「報知映画賞」のプレートを自宅庭に飾ったと伝えられる。

樹木はライオンが「シーサー(沖縄の魔除け像)みたいだから」が理由だと話している。松本徽章によれば、像の裏底の布をめくるとライオンと大理石がねじで固定されているのが分かり、「分離は難しいことではありません」としている。

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