器店「うつわ楓」店主の島田洋子が、陶芸家・上田浩一の陶胎漆器を紹介している記事である。島田は器に触れているだけで落ち着くと語り、上田の作品に「ひと目惚れ」した経緯を明かしている。

陶胎漆器とは陶磁器の素地に漆を塗り、低温で焼きつけた器のことで、その歴史は縄文時代にまで遡るといわれる。上田の制作は本焼き後に漆を塗り、布で拭き取ったりペインティングナイフで引っ掻いたり削ったりしながら、納得のいく質感になるまで塗っては焼きを繰り返す手間のかかる工程である。

作品はシンプルながら趣があり、板皿は抽象絵画のように見えるものもある。ポットや急須はサイズや持ち手、注ぎ口、蓋の収まりまで配慮され、実用性が高いという評価だ。漆が水を弾くため水切れが良く、汚れがつきにくく落としやすい点も利点である。

具体的な品目と価格も記載されており、急須は胴径7×H6.5㎝で16,390円、茶杯は各φ7×H5.5㎝で4,730円、板皿はW41×D13×H1.5㎝で18,700円となっている。器を暮らしの中で使うことを重視する視点から、日常使いの道具としての価値が伝えられている。