兵庫陶芸美術館（兵庫県丹波篠山市）では特別展「MINGEI ALIVE−いま、生きている民藝」が開かれている。展示を担当した同館のマルテル坂本牧子学芸員が作品の背景などについて解説している。

本展は民藝の誕生から100年を機に、日常生活の中に息づく美を現代の視点で再検討することを目的としている。提唱者の柳宗悦（やなぎ・むねよし、1889-1961年）の思想を紹介し、土地に根づく素材や技法、用途に即した誠実な手仕事の価値を提示する。

とりわけ使用頻度の高い「うつわ」に焦点を当て、陶磁器を中心に新旧の個人作家の手仕事を並べている。うつわはその時代ごとの民藝をよく体現すると位置付けられている。

現代では多くの生活道具が機械生産の工業製品となり、手仕事による道具は安価で身近なものではなくなった点にも光を当てる。主催側は「いま、生きている民藝」は現代における工業製品との関係も考える機会になると説明している。

会期は11月24日（月・振休）までであり、解説を通じて素材感や技法、用途に即した造形の工夫を改めて観察できる構成となっている。