長崎県東彼波佐見町立東小５年の長瀬海（うみ）さん（１１）が、今年夏茨城県笠間市で開かれた「第２４回全国こども陶芸展ｉｎかさま」で特別賞「板谷波山（いたやはざん）賞」に輝き、３年連続の入賞を果たした。

審査では「八咫烏全体の造形美と羽根一枚一枚を精巧に表現し、観察眼の鋭さに感心。幸せを運んで今にも飛び立ちそうなリアル感がある」と評価された。今回は３部門で１１３７点が出品し、長瀬さんが出品したＢ部門（小学４〜６年）には３０７点が応募した。

受賞作「八咫烏（やたがらす）」は縦横いずれも４０センチ、奥行き２５センチの作品で、目やくちばし、口の中、３本足まで生き生きと表現している。陶土で作った筒状の胴体に１枚ずつ貼り付けた羽根は約千枚に上り、羽根は模様を彫った石こうの型を使い、さまざまな大きさに陶土を伸ばして作製したという。

作品は素焼きの後に絵付けを施し、光沢のある黒色に仕上げられている。長瀬さんは「もともとカラスが好きで、本を読んで３本足のカラスがいることを知った」と話しており、幼少期から父渉さん（４８）の姿を見ながら陶土に親しんできたと伝えられる。

板谷波山（１８７２〜１９６３年）は陶芸家として初めて文化勲章を受章しており、同賞は新しい芸術文化の担い手を育てようと今回新設された。受賞作は今月２５日〜１２月１５日、波佐見町役場２階で特別展示される（閉庁日除く）。