シャネル N°5の原点をたどる企画で、出口夏希とJURIN（XG）がグラースを訪問した。訪問はジャスミンの収穫期である9月に行われ、“花からボトルまで”をキーワードに取材が進められた。

現地では農園でのジャスミン栽培やフレグランスファクトリーでのクラフツマンシップを体感し、素材と技術の結びつきを確認している。シャネル専属調香師オリヴィエ・ポルジュや代々農園を守り続けるミュル家の話を交え、製品化までの工程が紹介された。

同農園ではジャスミンのほか、ローズ ドゥ メ、ローズ ゼラニウム、チュベローズ、アイリス パリダなども栽培されており、原料の多様さが示されている。グラースは18世紀に革手袋の生産地として発展し、香料産業へと転換した歴史を持つ土地である。

この土地のサヴォアフェールは2018年にユネスコの無形文化遺産に登録されている。シャネル N°5は1921年に誕生し、ガブリエル・シャネルがエルネスト・ボーに“女性そのものを感じさせる”香りを依頼したことに始まる。

ボーが選んだ特別なジャスミン、グランディフロラムはN°5の象徴となり、フレッシュで官能的な香りを支えている。記事は収穫から調香の工程、フォーミュラやボトルデザインの背景までを通じて、名香のタイムレスな魅力とそれを支える人々の技を描いている。