大分県佐伯市弥生の陶芸家・市野瀬哲郎さん（81）が、城下西町の紅葉庵で29日から11月3日まで個展を開く。今回が9年ぶりの個展で、入場は無料で午前10時～午後6時の開催である。

市野瀬さんは上智大の美術サークルでアートに触れ、武蔵野美術短大で油絵や陶芸を学んだ。福岡県福智町の上野焼（あがのやき）窯元で約3年間修業した後、旧弥生町に戻り藪（やぶ）窯を開設した。

登り窯とガス窯を併用し、山や渓谷で採った粘土や釉薬の原料となる長石を用いて作品を制作してきた。年1回ほどの焼成で器や陶板レリーフを作り、家族や友人らの協力も得て活動している。

今回の展示は約50点で、約3万2千年前に描かれたショーヴェ洞窟（フランス）の動物壁画を題材にした作品群が中心である。1994年の発見当時に「世界最古」とされた壁画に受けた衝撃を土に表現し、野生の牛や馬、ライオンなどを造形して地元産の長石などで色付けした。

この春には3年ぶりに登り窯で主な作品を焼き、「年齢的にも最後になる」と考えて火入れを行ったとされる。市野瀬さんは「地元の土と石を使ってこんなものができるというところを見てほしい」と話している。問い合わせは紅葉庵（0972・23・4132）へ。