鹿児島県指宿市で廃校を利活用したクラフトビール醸造所「いぶすきブルワリー」が2025年4月にオープンした。JR指宿枕崎線・西大山駅から徒歩で25分ほどの徳光小学校跡地をリノベーションして誕生した施設である。

醸造所オーナーの今奈良 孝さんは市内で高齢者介護や保育事業を営んでおり、指宿が“東洋のハワイ”と言われているのに「クラフトビールがない」という声を聞いたことから、約10年前から地域を盛り上げるために検討を始め、市から敷地と建物を借り受けて整備した。

かつての家庭科室を醸造所に改装し、フルーティーで女性でも飲みやすい「いぶすきIPA」、クラシックな「いぶすきラガー」、フルーツを使用した季節限定ビールを仕込んでいる。季節限定ではまず夏に徳光スイカのビールを作り、秋に向けてパッションフルーツを仕込んでいるという。

工場直送のクラフトビールは瓶ビールや生ビールで提供される。音楽室だった場所には「廃校キッチン麦と庭」がオープンし、黒豚ピザや黒豚焼きカレー、オクラのジェラートなど地元特産を生かしたメニューを用意している。

醸造所の黒板には「ボイラーON」など仕込み作業のメモがチョークで書かれており、見学時にそうした現場の雰囲気も楽しめる。醸造所の見学は予約制であるため、訪問時は事前確認が必要だ。指宿の観光資源と地元食材を組み合わせた新たなスポットとして注目されそうだ。