ミヤザキケンスケが2025年夏、オランダ・デルフト市で大規模な壁画を完成させた。高さ約14メートル、幅約10メートルに及ぶ本作はブイテンホフ地区の建物外壁に描かれている。

作品の中央には青と白で彩られた大きな壺が配され、有田焼とデルフト焼という二つの陶芸文化が互いに影響を与え合ってきた歴史を象徴している。周囲に広がる花々は生命力と希望を表し、上部に描かれた太陽は「世界中の人々が同じ太陽の下で生きている」という普遍的なメッセージを伝える構成である。

制作は地域住民や子どもたちが参加する形で約3週間かけて行われ、完成を祝う場には地元住民や関係者が集まった。今回の制作はミヤザキの2015年から続く壁画プロジェクト「Over the Wall」の一環で、これまでケニアやパキスタンなどでも地域と協働してきた実績の延長線上にある。

プリンセンホフ博物館および佐賀県庁の協力を得て、地域コミュニティ団体「CANIDREAM」が運営するNOBISプログラムの一環として実施された点も特徴である。加えて本事業は日蘭交流425年を記念する公式認定事業としても位置付けられている。

同時期にはロッテルダム拠点のラクシュミ・マヌエラも同地区で住民の聞き取りを基に女性像を描く壁画を制作するなど、多彩な共創の動きが展開された。