国立競技場は民営化後の収益確保に向けて、大型音楽興行の誘致で本気度を示している。2026年1月から5年間のネーミングライツ契約により「MUFGスタジアム」として運営されることが発表された。528億円を31年で割ると年間約17億円という負担を抱える中、JNSE（ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント）が黒字化を目指す。

JNSEを構成するのはNTTドコモ、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ、日本プロサッカーリーグである。10月15日の事業戦略発表会にはJNSE竹内晃治社長と三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長が登壇した。

NTTドコモの関与を背景に、リボンビジョンを1層から3層に増設し、館内デジタルサイネージと連動させる計画や複数会場をIOWNで接続する構想が示された。ドコモ保有のIGアリーナ、有明アリーナ、GLION ARENA KOBEと結び、5万人規模を10万人、15万人に拡大する案も提示されたが、実装時期や詳細は未定である。

音楽イベントを優先する判断として、イベント後に天然芝を全面張り替える方針が明言され、地中温水パイプやグローライトなど芝管理技術の導入も説明された。2026年4月にはドコモ主催の「THE MUSIC STADIUM 2026」を開催し、ONE OK ROCKが参加する見込みで、国立でのロックバンド単独公演は初めてとなる。収益化に向けた挑戦は今後数年で評価される見通しである。