映画『ミッション：インポッシブル』シリーズは、イーサン・ハントを主人公に据えたスパイアクションである。主役のイーサン・ハントを演じるトム・クルーズは、CGやスタントマンに頼らず自身で危険なスタントに挑む姿勢を貫いてきたことがシリーズの特徴である。

その挑戦は第1作『ミッション:インポッシブル』の“宙吊りシーン”に端を発する。1996年公開時のトム・クルーズは34歳で、ワイヤーに吊られて床すれすれで静止するという演技を自ら行い、シリーズの象徴的な場面となった。

2000年公開の『ミッション:インポッシブル2 M:I-2』ではジョン・ウー監督の演出のもと、断崖絶壁を素手で登るシーンやバイクチェイスといった危険なアクションをトム・クルーズ本人がこなしている。記事は高さ約600メートルの断崖など、失敗すれば即死の状況に挑んだことを紹介している。

最新作『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』が公開された2025年には、トム・クルーズは63歳である。長年にわたり自らの肉体を駆使して限界に挑む姿勢が、シリーズを単なるスパイ映画以上の存在に押し上げ、多くの観客を惹きつけてきたという観点でその軌跡を振り返っている。