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小野小町は平安時代の六歌仙の一人に挙げられた歌人で、情熱的な恋歌を多く詠んだため、恋多き美女と伝説が生まれました。以下に説話・伝説を纏めます。
生誕伝承
秋田県湯沢市や京都市山科区等に生誕伝承が伝わる。
歌舞伎「和歌徳雨乞小町」
小野小町は流星を見て伊勢神宮に遣わされ、平穏祈願して神託を得た巫女であった。
貞観八年(八六六年)に干天が続き、清和天皇が源融を僧正遍昭に使わしたところ、遍昭は小野小町を推薦した。
勅命を受け参内した小野小町は、桜色に染まった恥じらいの顔、湖のように綺麗に澄んだ瞳、梅のはなびらかと紛うばかりの白い歯、情熱的な紅い唇、長く波のように後ろに垂れ流された黒髪の絶世の美女で、遍昭が馬から落ち、在原業平が妹の方を口説いておけば良かったと後悔させる程であった。小野小町は神泉苑で雨乞いの和歌「千早ふる神もみまさば立ちさばき天のとがはの樋口あけたまへ」を詠じ、その歌の徳で雨が降った。
能「草子洗小町」
若く美しい小野小町が宮中の歌合で六歌仙の一人となり、同じく六歌仙の大伴黒主が小町を陥れようと奸策を弄するが、小町は機知によってこれを退ける。
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_109.html
「清水小町」
小野小町が清水寺に参詣したときに、陀羅尼経を読む修行中の僧正遍昭に出会う。小町は戯れに「岩の上に旅寝をすればいと寒し苔の衣をわれにかさなむ」という歌を送ると、遍昭からは「世をそむく苔の衣はただ一重かさねばうとしいざ二人寝む」という返歌をした。
「百夜通い」
「深草少将(四位少将)」に言い寄られた小野小町は、「私のもとに百夜続けて通ったら、あなたの思いを受け入れる」という。少将は小町の言葉を信じ、雨の日も雪の日も通い続けたが、九十九夜目に急死する。
京都市伏見区の深草の里の欣浄寺に屋敷があったとされ、欣浄寺の池の横には「少将の通い道」があり、訴訟を持っている者がここを通るとかなわないと言われる。小野小町供養塔と並んで深草少将供養塔がある。
随心院(京都市山科区)には、深草少将等が書いた手紙を埋めたとされる「文塚」等がある。
「古今集」
「花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに」(小野小町)
古今集の撰者だった紀貫之は、「古今集仮名序」で小野小町の歌を「あはれなるようにて強からず。いはばよき女の悩める所あるに似たり」と評しているが、その美貌で異性を悩ませた小町も年齢とともに衰え始めた。
能「卒塔婆小町」
大阪の阿倍野を訪ねた僧は、朽木の卒都婆に腰掛けている乞食の老婆が気づく。老婆は小町のなれの果てと明かし狂乱状態となるが、深草少将の怨霊が憑りつき小町を苦しめていたので、小町は仏道を願う。
阿倍野区王子町に小町塚がある
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_069.html
https://nohgaku-kyodo.com/region/komachizuka-in-abeno-ward-may-be-a-historical-site-related-to-noh
能「通小町」
小町は死後も深草少将のに執念に取り憑かれ、成仏できないでいる。立ち寄った僧が小町の霊を弔おうとすると、深草少将の霊も現れ、小町を引き留めて僧を追い帰そうとする。「煩悩の犬となって打たるると離れじ」と小町の袖にすがる少将。「思いは山の鹿にて招くと更に止まるまじ」「元より我は白雲(知らない)の、かかる迷いのありけるとは」と振り切ろうとする小町。
深草少将は、人目につかぬよう馬車に乗らず、蓑笠に竹の杖に裸足の姿で九十九夜、雪の日も雨の日も小町の下に通ったことを思い出し、最後の一夜に風折烏帽子、花摺衣、藤袴、紅の狩衣の姿になって小町に通う妄想をするが、盃は飲酒戒を守って控えようとした唯一の悟りにより、小町と共に成仏できる。
https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_023.html
平安時代後期の漢詩文「玉造小町壮衰書」
(作者は弘法大師空海に擬する説がある)
老いて町を徘徊する女が、往時の贅沢の限りと親兄弟の死によって零落し悲惨をきわめる老境を綿々と語る。
この老女が小町と同一視され、
「小野小町は絶世の美女で、言いよる男性を拒絶し翻弄した挙句、老後は諸国を放浪し、孤独に亡くなった。死後は髑髏が野ざらしとなり、目から薄が生えて、歌を詠んだが、高野山に収めて弔った」との説話が生まれる。
「江戸次第」
在原業平が陸奥の八十島の宿に泊まると、夜中に
「秋風の吹くにつけてもあなめあなめ」という上の句の声が聞こえた。翌朝見ると野原に目から薄が生えた髑髏があった。業平が涙を流しながら「小野とはいわじ薄生いけり」と下の句を歌った。
https://core.ac.uk/download/pdf/223197276.pdf
まとめ記事
https://iyakukeizai.com/beholder/article/1108
「関寺小町」
https://magazine.confetti-web.com/confetti/interview/5460/
「鸚鵡小町」
番外曲の小町物――清水小町・高安小町・富士見小町など