Hand of Muse ~サブカル部活動~ 「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」 「機動警察パトレイバー劇場版1」を語る会

Hand of Muse サブカル部活動

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
「機動警察パトレイバー劇場版1」を語る会

メンバー
ゆっちさん
宮本さん
なるさん
りんりんさん
マル (幹事)

アイスブレイク

★「アニメを見る頻度は?」

U・友人に紹介してもらったアニメを週一くらいで見ます。

M・今は年に25~30本くらい見ます。

R ・かなり減っていますね。「逆襲のシャア」もゲーム「スーパーロボット大戦」から入りました。

★「これまで見たアニメで印象的だったのは?」

U・「WHIET ALBUM」です。恋愛アニメも好きです。15才くらいに見た「サイバーフォミュラー」は思い返すと凄く影響を受けた気がします。

M・NHK BS2で放送した「プラネテス」です。

N・押井守作品ですね。

R・「コードギアス 反逆のルルーシュ」です。

★「アニメを見る時のポイントは?」

U・まずアニメとは「脚本」「画」「声」「主題歌」などの「総合芸術」なのでポイントを1つに絞って見るのは難しいと思います。でも、「脚本」が面白いアニメはやっぱり面白いと思います。

M・エンターテイメントとして見るなら「脚本」は大事、「起承転結」が大事だと思います。
個人的に何か作品を見て…

つまらない →3流
面白かった→2流
他の人にも薦めたい→1流
自分の人生の一部になる→超1流

かなと考えています。
自分も「脚本家」だったり「製作スタッフ」で見るアニメを決めたりもしますね。

第1部「逆襲のシャア」

★登場するメカ・ロボットの作品内での位置付けと、デザインについて。

U・「ガンダム・宇宙世紀シリーズ」を通したロボットの進化の違いという点から「逆襲のシャア」を見るのが好きです。作中では、

連邦軍
νガンダム
リ・ガズィ
ジェガン

ネオ・ジオン軍
サザビー
ヤクト・ドーガ
ギラ・ドーガ

と、種類も多くなく分かりやすい。主人公アムロの機体「νガンダム」は、実は作中の位置付けは、第2世代のモビルスーツであり、ジェガンのパーツも流用可能で、安定した機体です。対してライバルシャアの機体「サザビー」は第4世代のモビルスーツであり、高出力、高火力、チューンアップもピーキーで、不安定な機体です。なぜその様に開発が進んでいったのか調べていくと「逆襲のシャア」だけでなく「ガンダム宇宙世紀シリーズ」の世界観をより深く味わえると思います。

R・作中のモビルスーツのデザインがどう決まっていったのか、その過程を見るのも面白いですね。初めの設定ではガンダムにマントが付いていたらしいです。それがどんな経緯で、あの「νガンダム」のデザインになったのか…興味深いですね。また当時、モビルスーツのデザインを書いた人の中に「新世紀エヴァンゲリオン」の監督「庵野秀明」もいたんですよ。

M・単純に登場するモビルスーツのデザインがカッコいいですよね。個人的に「機動戦士Zガンダム」、「重戦機エルガイム」を担当していた「永野護」のシュッとしたデザインが好きです。

N・…実は「逆襲のシャア」は人間ドラマなどに興味があり、メカやロボットに対してはあまり…興味がありません(笑)

★クェス・パラヤについて。

N・嫌いなんです(笑)アムロが好きだと言いながら、すぐシャアにくっついて連邦軍からネオ・ジオン軍に移ったり…同年代のハサウェイに対しても小悪魔的な態度をとったり…その全ての言動が許せないです。現実世界でも、あんな子がいたら嫌われるんじゃないかな?まあ、好みは人それぞれだと思いますが…

U・私は登場キャラクター全員嫌いです(笑)でもクェスは、作中では新世代の象徴なんだと思います。主人公アムロ、ライバルのシャア達、TVシリーズからのキャラクター達が年齢を重ねて成長した対比として描かれていると思います。

M・クェスがいないと、アムロ達の小物っぽさ、人間臭さが出ませんよね。アムロやシャアのクェスに対する言動が「ニュータイプ」の人間性をより強調している様に感じます。

U・クェスはTVシリーズ「機動戦士Zガンダム」の主人公カミーユを意識していると思います。若いし、感情的だし。基本「逆襲のシャア」という作品は主人公アムロとシャアだけでも、話が進むと思うんですよ。でも、嫌われキャラがいないと、面白くないし、アムロとシャアの人間ぽさが強調されない。

R・……クェスの髪型、ツインテールが嫌いです(笑)ネオ・ジオン軍に入って髪型が変わると、お!良いじゃん!て思えるんだけど…あのツインテール…良く見ると左右非対称何ですよね…あれ宇宙へ上がるシーンでスペースシャトル内の座席に座っている時…絶対!頭が痛いと思います(笑)

U・オープニングも「νガンダム」の顔の後、クェスが追われているシーンから始まるじゃないですか。そういったシーンから考えると、「逆襲のシャア」という作品て、クェスの物語であるべきだと思います。

幹事・個人的にクェスはタイプです…

★アムロとシャア

幹事から
「アムロとシャア、どちらが好きですか?」

アムロ 2票
シャア 2票
選べない 1票


★「アムロというキャラクターについてどう思いますか?」

M・現実世界でのサラリーマンみたいですよね。上から…組織からの命令を確実に実行するけど、シャアの様に自ら動いて何かを変えようとしたりはしない…行動が受け身だと感じますね。でもだからこそ、人間臭いし共感できます。

N・最後まで士官として終わってしまっている。友人としては凄く良いと思うけれど、やっぱりシャアと比べると凡人だなと、思います。良くも悪くも能力を使わないし、ハッキリしない。

U・でも、行動力がない、ハッキリしない所が優しいに繋がっていると思うんですよね。同じくシャアと比べてしまうと…能力は使いきれてないですよね。共感はしやすいキャラクターだとは思います。

R・主人公として良いキャラクターですよね。「機動戦士ガンダム」ファーストのTVシリーズでは15才くらいの設定でしたよね?当時、アニメを見ていた世代もその年代だと思うんですよ。で、「逆襲のシャア」でアムロも20代後半で…ファーストを見ていた世代も同じ様に年齢を重ねて、少年から大人になり、イチ企業人として聞き分け良く仕事をこなす…そんな成長過程が現実と作品をリンクさせて、アムロに共感しやすいんだと思います。

U・個人的にアムロは、技術士官として生涯を終えてほしかったです(笑)

★「女性目線で男性的な魅力を持っているのは誰?」

U・ギュネイですね。「俺、頑張るから!総帥も超えてみせる!」というクェスへのセリフからも分かる様にストレートなので(笑)

R・……ブライトさんじゃないですか?人としても軍人としても優秀だし。

M・作中で、シャアに2回ぐらい誉められてましたしね(笑)

U・職業軍人で、1番安定しているし、作中で唯一の既婚者というのもポイント高い(笑)

★「シャアというキャラクターについて」

N・ロマンチストですよね。…でも、あまり思い入れはないかも。TVシリーズからあまり成長していないイメージですね。

M・人間くさいなと思います。いつまでもアムロとララァの事を引きずっているし。でも執着するのが人間だし、そういった意味でシャアは幸せだったと思います。

R・幼くなっている様に感じました。中2病くさいなと。でも、それが監督の技なのかもしれないですよね。年を重ねて物分りが良い軍人になったアムロの対比として、アムロとの決着、ララァへの思い出に執着する幼いシャア…そんな気がします。

N・シャアは映画だけでなく、TVシリーズも通して、腐敗した政治や戦争に利用されたニュータイプの末路など、全てを見て、絶望し、「地球にアクシズを落とすしかない」と悟った、本当の意味での「リアリスト」なんだと思います。だから、作中でアムロが言う「人の未来」については「夢物語」にしか聞こえないし、ラストの二人のやり取りはいつまでも平行線だったんだと思います。反対にアムロからしたら、シャアはいつまで理解出来ない存在だったのだと思います。


第二部「劇場版 パトレイバー1」

★「映画の魅力はどこですか?」

U・戦闘用ではなく、土木作業用として誕生した画期的な機械!それがレイバーであり、その誕生した背景がリアルで魅力的。さらに、主人公が乗る「98式」という機体は、それ以前のゴリラの様な機体と比べるとデザインが全然違っていて、マンガ版では、整備班の班長が98式を見て「これはロマンだよな~」と言っているが、本当にそう。それに映画が公開された1989年にほとんどの人が知らない、「OS」という言葉を使っていたりする所も魅力だと思います。

M・そうですよね。当時、知らない人がほとんどだったのに「OS」やら「コンピューターウィルス」やらという単語、テーマを扱うあたりに、「リアルな未来性」を感じますし、押井守監督の先見性も感じます。

N・犯人の「帆場暎一 ほばえいいち」というキャラクターや、旧約聖書を扱っている点も「世紀末感」を感じさせてくれて、良いですよね。

M・ガンダムと違っていて、現実世界と地続きなんじゃないかと思わせてくれます。ガンダムの世界では、戦車や戦闘機はモビルスーツというロボットに勝てないけれど、パトレイバーの世界観では、ロボットと戦車が対等なんですよ。そういった所もリアルですね。劇中に出てくる「篠原重工」の工場、レイバー生産ラインの表現も素晴らしい!

U・会社名に「ヨツビシ」とかっていうのも良いですよね。

R・……映画だと主人公達がパトレイバーに乗っている場所が違いません?マンガ・アニメで、ちょっとずつロボットのデザインや機構が違うのも面白くて良いですよね。ガンダムと違って、大人だけでなく、子供でも楽しむる作品だと思います。TVで放送していたりしても、すんなり見始める事が出来そうなのが「パトレイバー」だと思います。

U・……この映画の監督・押井守は二足歩行のロボットが嫌いだと言ってました(笑)現実的に考えたら「四足だろう!」と……だから映画版になると、四足歩行型レイバーの登場シーンが増えてますよね。

★「どういった作品だったか?」

M・エンターテイメントですよね。刑事モノとしても見れると思います。でも印象的なのは「リアルな東京」を描いている事。松井刑事が犯人「帆場暎一」の痕跡を捜査していくシーン、あれは押井守監督が残したいと思っている、東京の風景なんじゃないかと思います。あのシーンの絵を見ると、映画の「話」が分かる気がします。

U・後藤隊長と松井刑事が釣り場で話すシーン…あそこが、この映画の全てな気がします。

R・キャラクターのデザインがカワイイですよね!

M・TVアニメは明るい感じだけど、劇場版になると、影やシワなんかも細かく描かれてますよね。

★「篠原遊馬はどう感じた?」

・等身大のキャラクター
・淡々と仕事をこなしていく感じで、事件解決の転換点を作っている

★「映画を見ての総括」

U・やっぱりラストのレイバー対決です!「技の98式イングラム」と「力の零式」の闘い。そこで主人公「泉野明」と「アルフォンス」が見せるワイヤーアクション、人と機械のこれまでの経験値があそこに集約されていると思います。「劇場版パトレイバー1」は「OSの成長物語」と言っても良いですね。

M・バビロン・プロジェクトという劇中の大規模プロジェクトが現実世界の問題とリンクしついる所が凄い!サスペンスとしても面白く、最後に「方舟」へ行き着くのも良い。

N・Mさん達と同じく、ロボットアニメだけど、現実味のあるプロジェクトや、先見性のある事件テーマ、決してロボットのドタバタだけではないのが魅力。押井守監督作品の特殊でもある、刑事が犯人を追っていくシーンと川井憲次の音楽も素晴らしい。

R・「完璧なテロリスト」を作りたかったのかもしれないと感じました。他には「埋もれている物を掘り返す」様な作品ですね。見た人が自ら調べる余地があると思います。専門的な単語とかですね。見た後で自分なりに世界を広げられる作品だと思います。

幹事より
★「映画評価の掲示板などで犯人の動機などの説明がもっと欲しかった、という意見を見ました。ラストはあれで良かったですか?」

U・あそこから何かを描こうとしたら、蛇足になってしまうと思います。ラストはあれで良いと思います。

M・主人公の所属する「特車二課第二小隊」の後日談はあっても良かったかな。でも、基本あれで良いと思います。

N・余白がある方が良いですよね。

R・その「もっと説明が欲しかった」と掲示板に書いた人は、もしかしたら若い方なのかも…個人的に若い人は「公式」の発表を欲しがる印象があるので、そういった意味で「公式」な説明が欲しかったのかもしれません。でも、「公式」の発表ではなく、見た人それぞれで、想像して、その後の事を考えるから楽しいんだと思います。

オマケ
「劇場版パトレイバー2」について。

・この作品は…押井守バージョンの「逆襲のシャア」ですよね。押井監督って、「逆襲のシャア」が大好きらしいんですよ(笑)政治や組織の腐敗や不条理に絶望し、「逆襲」しにやってくる「シャア」と「ツゲ」…似ていると思います。

・人を選ぶ作品で、日本独特だと思います。当時の「国防」や「警察組織」の描き方がリアルでした。

・政治的な大人向けの映画ですよね。

最後に幹事より。
まずは参加者のみなさん、素敵な時間をありがとうございます。思っていた以上に濃厚なお話を聞かせて頂き、本当に大変楽しかったです!「アニメは総合芸術」という表現から始まり、まさに言葉の通りロボット・アニメ映画の多面性を強く感じました。メインの活動である「美術」へ繋がるエッジやフックも沢山ありました。今後はその辺りをうまく混ぜた企画をやりたいなとも思っています。よろしくお願いします。