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水道町のとある喫茶店に行きました。
久しぶりに凄まじい接客で俺は大層驚いた。
という訳でネタにしようと思う!!!
店名は伏せさせていただきまして……
以下当時のエピソード
その日は春というより初夏の兆しすら感じられるほどの暑さであった。
真っ昼間から俺は意味もなく上通をウロウロと歩き回り、宛もなく藤崎宮に寄って足に疲労を溜めていた。
要するにヒマだったわけである。
そして疲れ、休憩したかった。
どこかで軽くコーヒーの一杯でも飲んで帰ろうかと思い、彷徨っていると上乃裏にひっそりと『おいしい珈琲』との看板があるではないか。
うむ。ちょうど良い。入ったことのない店だが、ちょっくら休ませてもらおう。
その程度の気持ちでおった入店直前の俺を、今はぶん殴ってやりたい。
薄暗い地下の店内に入る俺。
入り口を開くと、カウンターとボックス席があり、弱い照明のなかで音もなく、静かな雰囲気が流れていた。
カウンターには先客の男女がおり、マスターと談笑しているようだ。
豊かな白髪と日焼けした肌、立派な白ひげをたくわえたダンディなマスターである。
「いらっしゃい」
低い声で店内に案内され、俺は奥のボックス席に着席した。
お冷とメニュー表を無言で俺に配り、先客とコーヒー談義に興じるマスター。
かなり盛り上がっていたらしい。いささか申し訳ない気持ちになりつつ、俺はメニュー表を見やる。
メニュー表では3,000種類以上のブレンドがあると謳われており、マスターのコーヒーに対する深い愛が垣間見えた。
しかしながら、所詮素人の俺にはメニューに書かれているコーヒーの銘柄が全く分からない。
ブラジルだの、マンダリンだの言われても、味の想像など湧かないわけである。
困った。
とりあえずこの『スメルスイート』なるブレンドにしてみよう。
メニュー表の左上にあるし、最も安価で800円だ。たけえよ。
こういう時は左上が最も安定しているハズの法則だ。(持論)
全然注文を取ろうとせず談笑を続けるマスターに、意を決して話しかけると予想を超えた反応が返ってきた。
「すみません、このスメルスイートってのをください」
「お客さん、スメルスイートって何かご存知です?」
「え? いえ、知らんです」
「スメルスイートってのはね、非常に浅煎りなんですよ。本当にそれで良いんですか?」
「え、ええ。まあ構いません」
「うちはね、お客さんにどんな珈琲を飲みたいのか、必ず伺ってから作ってるんです。どんな珈琲が良いです?」
「(めんどくさ……)え、ええと、じゃあさっぱりしたものを」
「それじゃあ分からないよ。お客さんの言うさっぱりと、私の思うさっぱりは同じとは限らないじゃないか。
その注文で作った珈琲を飲んだお客さん自身が、私に対して『なんて珈琲を作ってくれるんだ!』って言われても困りますよ」
「い、いや!言わんですよ。そんなこと!」
「じゃあ濃いの? 薄いの?」
「じゃあ、濃いので……」
「はいよ」
良いか。諸君。
俺 は た ま げ た
どんな珈琲を飲みたいか伺ってから作る??
メニュー表渡してきた時に言いなさいよ!!
そんなん知るワケないでしょ!
アンタ無言でメニュー表渡してきただけやんか!!
この会話を挟んだ時点で、俺の怒りは頂点に達しかかっていた。
マスクはしないし、やたら咳はするし。
頼んだものは作ってくれないし、人を小馬鹿にするような質問してくるし。
なんやねんコイツ。
二度と来ねえわ!
と思いつつ、ある一点において俺の脳裏は非常に冷静であった。
『残金足りるであろうか』
そう。なんと俺の財布には1,000円札1枚しか無かったのである。
最近知ったが、ゆうちょ銀行って土日引き出し手数料かかるようになってたんだね。
110円の手数料をケチったおかげでとんでもないスリルを味わう事になってしまった。
ありがとう!ゆうちょ銀行さん!!(怒り
普段からPayPayをメインに使っているので、現金を下ろすなど、久しく行っていなかった。
緊急事態である。
この後、会計で金が足らんかった場合の爺さんとの問答を考えると気が重い。
『スメルスイート』であればメニュー表記800円なので、消費税別だったとしても耐えられる。
しかし、爺さんが淹れる濃いめの珈琲はいったいいくらするのか?
メニュー表の珈琲は大抵が1,000円。物によっては1,200円とかしちゃう。
当然、この店にQRコードも無ければ宮川大輔のポスターも無い。
お冷を飲みながら冷静さを保とうとしていると、爺さんが珈琲を運んできた。
雑に置かれた珈琲は勢いでソーサーに溢れてしまっている。アンタ本当に珈琲好きなんか。
「時間が経てば甘くなりますから」
後半の言葉はもはや俺にあてたセリフではなく、いつの間にか帰ってしまっていた先客がいたカウンターに響いていた。
なんやねんコイツ。
二度とこねえわ!
いざ実飲。
苦い。とても。
珈琲としては……普通かな。別に特別美味しいということもない。
心象最悪なんだから、味は期待を裏切ってくれないとねえ。
せめて美味しかったらまだ評価点もあるのに。
時間が経てば、というがそんな時間はない。
俺は一刻も早くこの店から出たいのである。
味の変化など楽しめるような心境ではない。
先程の会話でイライラしているのに、他に客もいないこの空間に取り残されるのはごめんである。
さっさと飲んで会計だ!
これ以上、この爺さんと厄介な事に巻き込まれたくないと祈りながら、あくまで表情は平静に。
こういう時は舐められたら終わりである。(ただのプライド)
「ごっそさん」
「はい。1,000円ね」
………………
…………
……
あぶね~~~~~!!!!!
マジで焦ったぜ!!!
ていうか何だ!1,000円て!!
スメルスイートなら800円だぞ!!
勝手に200円も値上げすんなや!!
せめて説明しろよ!何のためのメニュー表だばーかばーか!!!
ファンの方いたら申し訳ない。
私は二度とあの店には行きません。
ググってみると、レビューでは俺と同じ思いをした先人たちがいたようである。合掌。
先に見ておけばよかった……!
こうまで書いたけれど、なかなかいいブログネタになったなと満足w
ありがとうなじいさん!
二度と行かねえよ!!!
それでは次回の記事をお楽しみに!