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俺の普段の通勤手段はバスだ
それも、勤務地が離れているため、そこそこの時間乗っている
行きは比較的空いていて良いのだが、帰りは色んな所で乗客を拾うため、それなりに混むこともある
これはそんなある日の帰りのバスでの話である
その日も俺は帰りのバスで本を読みながら過ごしていた
やはり行き帰りは読書に限る
いつの間にか時間は経過しているし、面白い物語に出会えたら続きが気になって満足度も上がるってもんだ
結構当たりの一冊だなぁ、なんて思いながら読んでいると、バスはとあるバス停に到着した
そふと目線を上げると、小学生の男の子が車内で座席を探している
周囲の乗客達は、我関せずと窓の外に意識を向けているではないか
見かねた俺は、少年を手招きして隣に座らせることにした
小さな声で、ありがとうございます、と呟く少年に会釈で応じ、俺は読書を再開した
可愛らしいではないか。俺は彼を心の中でキッズと名づけることにし、帰宅のお供とした
はてさて、読書を再開してから数ページも進まないうちに、俺の右肩には何やらずっしりとした重みが……まさか、寝てる?
案の定である
疲れたのか、キッズは座ってからすぐに意識を手放してしまったらしい
それも意識を相当遠くに飛ばしてしまったらしく、かなり熟睡のご様子である
小学生ながらに授業とか大変なんかな、前日夜更かししたんかな、とか思いながら俺は呑気に読書を進めた
まあ彼が寝ていても俺は構わないわけである
別に涎垂らして寝ているわけでもないし、さして負担でもない
しかし、随分と爆睡している
果たして自分のバス停でちゃんと気づけるのだろうか
俺は段々と、読書どころではなくなってきた
もし、キッズが降りるべきバス停を寝過ごした場合、俺は運転手さんにその旨をお伝えしたり、親御さんに連絡したり、一緒に降りて親御さんをお待ちしなければならないのではないだろうか?
でないと、寝過ごしたキッズがどうなったのか気になって夜も眠れなくなってしまうではないか(大げさ
急な使命感に駆られた俺は、夢の中のキッズを現実に引き戻すべく行動を開始した
声をかける、
揺らす、
軽く叩く、
……ダメだ、全然起きんやんけ
キッズの眠りは非常に深く、ちょっとやそっとの干渉じゃまるで起きる気配がない
そうこうする間に着々と次のバス停が近づいてくる
まずい……キッズはどこで降りるんだ……?
疲れたので続きは次回!
果たしてキッズは降りるべきバス停で降りられたのか!?
皆さんの今日がより良い1日となりますように!!
それでは!