12月10日、金沢大学の先端科学・社会共創推進機構が角間キャンパスで「雑談のチカラ」を実施した。陶芸家で第十一代大樋長左衛門の大樋年雄氏がゲストとして登壇し、学生・教職員ら8名が参加した。大樋氏はこれまでの歩みや活動を紹介し、参加者は作品の「魂」や五感の扱いについて感想を述べた。

こういう場は、単に話を聞くだけで終わらない。陶芸が好きなら、作り手の言葉や制作の背景を直接聴くことで、作品を見る目が一段と深まる。話の中に出てきた「香りを聞くように五感で扱う」という表現は、写真や説明文だけでは伝わりにくい体験そのものであり、工房訪問や実物を前にした鑑賞がいかに大切かを改めて実感させる。推しの作家がいるなら、トーク後に感想を共有する仲間を作ってみるといい。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。小さな鑑賞会や窯見学、ワークショップに参加して「会って楽しむ体験」を積み重ねると、推し活は画面の外で現実に根づいていく。誰かと一緒に予定を入れれば、その日がただのイベントではなく次の制作や話題につながる一歩になる。自分で小さな企画を立ててみるのも手だ—作品の裏話をテーマにしたお茶会や、初心者歓迎の手びねり会など、同じ温度感の人と出会う場は思いのほか広がる。陶芸を「観る」から「語る」「集める」「会う」へと転化させると、趣味はもっと長く、もっと濃く続いていくはずだ。