森美術館で『六本木クロッシング2025展：時間は過ぎ去る　わたしたちは永遠』が開催されている。会期は12月3日から2026年3月29日までで、絵画、彫刻、映像、工芸、ZINEやコミュニティプロジェクト等、全21組の作家による多様な表現が紹介されている。副題はインドネシアの詩の一節に由来し、「時間」を軸に国内外の作家を交えたキュレーションが行われている。

展示を前にしてまず伝えたいのは、これが「観る」だけの展覧会ではなく、好きなものを拡げるための絶好の起点だということ。A.A.Murakamiの体験型インスタレーションや桑田卓郎の大作、沖潤子の刺繍作品のように、触覚や時間感覚を揺さぶる作品が並ぶ今の森美術館は、感想を持ち寄って語り合うことで理解が深まるタイプのイベントである。展覧会の余韻を共有するために、友達と感想ノートを交換したり、展示を軸に小さなテーマで集まるミニツアーを企画してみてほしい。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。会期は長めなので、「今週末に同じテンションの人と会える場があるだけで、推し活は現実に根づく」的な感覚を持って予定を入れやすいのも魅力だ。一人で行っても、展示を起点にその場で知り合いができたり、後日カフェで語り直す約束が生まれやすい。観賞後は森タワーの眺望や六本木周辺のギャラリーを巡る“梯子プラン”を立てると、作品の時間感覚が日常に持ち帰れ、趣味が生活の一部として定着していく。自分で小さなZINEを作って交換する、自分だけの問いを持って再訪する――そうした行動が、展示体験をただの鑑賞から仲間と育てる楽しみへと変えてくれるだろう。