兵庫・塚口の小規模劇場「塚口サンサン劇場」が、観客参加型の「マサラ上映」を軸に復活し、全国から観客を呼び寄せる存在になっている。紙吹雪やクラッカー、ステージでのダンスなど観客が主体的に参加する上映形式が評価され、かつては閉館寸前だった劇場が“聖地”と呼ばれるまでに集客力を高めたという事例である。

こういう映画体験は、「観る」だけで終わらない。マサラ上映は映画を祝祭化し、スクリーンの外へと熱を広げるイベントとして機能している。推しや作品への愛を持ち寄って紙吹雪を飛ばす瞬間、同じテンションの人と会える場が生まれ、そこで交わされる会話や高揚はSNSの投稿だけでは味わえない濃度を持つ。もし映画をただ鑑賞するだけで物足りなさを感じているなら、小さな劇場の参加型回を狙うのが手堅い。今週末に行けるイベントを探して一人参加歓迎の回に飛び込めば、語れる相手と出会いやすく、次の上映やオフ会の約束までつながりやすい。自分で仲間を募って“推し上映”を企画するのも楽しい。曲や小物、コスプレのルールを決めておくだけで初めての参加者のハードルは下がるし、終演後のカフェで感想交換を予定化しておくと関係が続きやすい。イベントに参加する度に仲間が増え、次の誘いが回りやすくなる。映画を“語る”ことで愛が深まり、会いに行く体験としての映画館の価値がまた一段と高まるだろう。