TRILLの取材によると、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』のスタジオは短期間で大規模なセット替えが行われている。大道具スタッフ約20人で箱馬や平台といったパーツを搬入し、江戸城内の主要セットを4日で組み上げることもあるという。既存パーツを補修・塗り直しながら再利用し、1週間に10回以上のレイアウト変更を繰り返す運用が特徴である。

セットの細部に目を凝らすと、ドラマの物語構造やキャラクター造形が視覚的に語られていることが楽しめる。例えば吉原や庶民の場は天井を低く抑え、江戸城は天井高を際立たせることで「場」の格や物語の転換を示す演出がなされている。こうした美術の工夫はただの背景ではなく、物語を読み解くためのヒント集のようなものだ。推しの表情や立ち居振る舞いを切り取る際に、どのセットがどんな心理や権力関係を補強しているかを語り合えば、鑑賞が何倍にも面白くなる。友達を誘ってセットの細部をテーマにした鑑賞会を開いたり、展覧会や小道具展示に足を運んで生のスケール感を味わうのもおすすめだ。手作りでミニチュアを作るワークショップや、茶屋を模したフォトスポットで仲間と写真を撮る企画を立てれば、画面の外に趣味が広がっていく。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。今週末に同じテンションの人と会える場があるだけで、趣味は現実に根づく。大河の裏側を知るほど、推し活はもっと具体的で楽しい体験になるはずだ。