浅草六区通りに『浅草リトルシアター』という“世界で一番小さな劇場”がある。若手芸人が毎時のオープニングトークからエンディングまで短い回転でネタを披露し、1日に複数回の公演が行われている。2008年に山口六平氏が開設し、現在は約100組が登録、のべ1000組以上が舞台を踏んでいる。出演は養成所卒業かプロダクション所属が条件で、運営はノルマ・ギャラなし、呼び込みは出演者自ら行う。

小さな小屋ならではの魅力は、舞台と客席の距離感だ。粗削りなネタに心を奪われる瞬間が何度も訪れ、1回目でピンと来なくても次の回でハマる“場数推し”が生まれやすい。生の拍手や終演後の一言で、推しとの関係が画面の中だけで完結しない実体験に変わるのも嬉しいポイントである。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。友達と感想を言い合ったり、同じテンションの人と会える場を予定化するだけで、推し活は現実に根づきやすくなる。週末にふらっと回してみる、一人でも入りやすい小劇場をリストに入れておく、気に入った芸人の出番をチェックして次の予定を作る――そんな小さな行動が、自分なりの応援スタイルと仲間づくりを育てるはずだ。自分で観劇後の小さな企画を立ててみるのも、新しい楽しみの見つけ方である。