出版不況の中でも、パズル雑誌は堅調に売れているとする取材記事である。出版社・マガジン・マガジンのパズルメイト編集部 総局長の安原美能留氏によれば、同社のパズル雑誌は2024年の総発行部数が1067万部となり、ジャンルでトップクラスの実績を示している。

読者層は主に50〜70代が中心で、紙ならではの「書き込める楽しさ」や文字の大きさ、認知症予防や暇つぶしといった実用的なニーズ、さらに懸賞応募の魅力が購入動機になっているという。

見解・考察（楽しみ方の提案）

紙のパズル雑誌が売れている理由は、単に「問題を解く」だけで完結しない豊かな体験があるからだと思う。ページをめくってペンを走らせる時間には、集中と達成感が混ざった独特の幸福がある。高齢読者が多いという話はあるが、世代を超えて一緒に楽しめるコンテンツでもある。例えばカフェで集まって静かに解き合う「パズル会」や、解き終わった問題を持ち寄って答え合わせをするミニイベントなら、初参加でも入りやすい。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。

また、懸賞や応募を軸にした小さな競争を企画すると、ただの趣味が「次の予定」になる。今週末に近場で集まる約束があるだけで、推しや趣味は現実に根づく。若い世代ならSNSで解き方の工夫を共有したり、逆に高齢の常連さんからアナログなコツを教わる交流も生まれる。雑誌という「物」を入り口に、イベントや仲間づくりに広げていけば、趣味は長く続いていくはずだ。