昭和のプロレスがテレビを通じて大衆に広まったのに対し、令和のプロレスは地方ホールや小規模興行を舞台に多様な団体・選手が活動していると報じられている。会場ロビーでのグッズ販売や選手によるサイン会、ファンとの写真撮影といった交流機会が増え、観客の年齢層も幅広い。観戦は単なる試合観賞にとどまらず、選手のキャラクターや演出を通じた「推し活」に近い楽しみ方が広がっている。

こんな時代のプロレスは、リングでの一発勝負だけが魅力ではない。選手の入場曲に合わせてコスを整え、サインやツーショットを手に入れ、試合後にその熱量を語り合う――これら全部が「観戦体験」だと考えると、楽しみ方の幅が一気に広がる。小さなホールならではの距離感は、画面越しでは得られない生々しい感動と驚きを与えてくれるし、子連れや年配ファンも混ざる場は世代を超えた共感の源にもなる。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。今のプロレスは、当日の観戦だけで完結させず、グッズや撮影をきっかけに次の予定を入れると定着しやすい。例えば近場の団体のカレンダーをチェックして「今週末に同じテンションの人と会える場がある」と予定化するだけで、推し活が現実に根づく。一人参加歓迎の色があるイベントを選べば心理的ハードルも下がり、試合後に話しかけて仲間を作ることも十分可能だ。さらに、自分で小さな観戦会や感想交換会を企画すれば、「好き」が企画になって回り始める。プロレスの多様化は、応援スタイルや楽しみ方を個人で拡張するチャンスでもある。キャラクターを掘り下げ、会場での体験を誰かと共有することが、令和のリングをより深く楽しむ鍵になるだろう。