吉祥寺の『ビアンカーラ』は井の頭公園のすぐそばに店を構えるナチュラルワインの専門店である。店主の小平尚典氏はイタリアの造り手ラ・ビアンカーラとの出会いをきっかけに自然派ワインに開眼し、2011年に店を開業した。店内にはナチュラルワインの空き瓶が並び、世界各地のワインと小粋なつまみを提供している。

ワイン好きの視点でいうと、こうした「出会いの場」があること自体が宝物だ。小平さんの「初恋の1本」の話にあるように、一本のボトルが価値観や趣味を大きく動かすことはよくある。だからこそナチュラルワインは、写真で眺めるだけで終わらせず、実際に店で飲んで感想を誰かと分かち合ってほしい。こういう熱量って、結局“語れる相手”がいると一気に加速する。吉祥寺という立地は、公園散歩と組み合わせた昼下がりの訪問や、夜に少人数の試飲会を開くのにちょうどよい。まずはオープンチャットや地域のワイン好きコミュニティで空気感を確かめてから、一人でふらりと立ち寄るのも手だ。持ち寄りで一本ずつ紹介する会を自分で企画すれば、初参加でも会話のきっかけが生まれやすい。飲み終わったら「また会う予定」が一つ増えている──そんな小さな循環が、推し活や趣味活を長く続けさせてくれるはずである。