2025.12.4
心癒す新作小説の舞台は古民家食堂
2025.12.4
出典: ddnavi.com
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高橋由太の新刊『しっぽ食堂の土鍋ごはん 結婚歌と優しいプリン』がポプラ社から刊行された。シリーズ第2弾にあたる本作は、心温まる人間模様と食の描写が魅力である。
主人公は売れないシンガーソングライターの悠木紬（ゆうき・つむぎ）。準レギュラー出演していたローカル番組の終了で落ち込み、新しい道を模索する中、陶器の猫看板に導かれて古民家風の「しっぽ食堂」を訪れる。
店を営む中堂陸（なかどう・りく）は不愛想でコワモテだが、本当は心優しい人物である。彼の作る土鍋ごはんと陶芸に触れ、看板猫の三毛猫・しっぽと出会った紬は心をほどかれ、しっぽ食堂でアルバイトを始める。
物語は穏やかな日常描写の一方で、紬が歌手をやめようと考えるほど追い詰められる出来事も描く。紬は話題のミュージカル『初恋ゴースト』の最終選考に残るが、同じく最終選考に残った葉月羽矢（はづき・はや）という「百年に一度の逸材」と称される18歳に圧倒される場面もある。
だが羽矢は「病気で入院しているおばあちゃんに結婚式を見せたい」と語り、祖母の咲（さき）への想いを明かす。紬と中堂は羽矢の願いに協力し、紬が作詞作曲した「結婚歌」も物語に深く関わっていく。
前作『明日の歌とふるさとポタージュ』に続く本作は、優しい言葉と温かな描写が随所に散りばめられており、大人から子どもまで楽しめるほっこりした読後感が特徴である。
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