2025.12.3
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大正10(1921年)創業の老舗割烹旅館「玉川旅館」を振り返る展覧会「玉川旅館の記憶」が、船橋市民ギャラリーで3日から開催される。玉川旅館は文豪・太宰治が滞在して執筆活動をしたとされ、令和2年に閉館し、国の登録有形文化財に指定されていた建物も老朽化などで解体された。
今回の展覧会では、太宰が滞在したといわれる「桔梗の間」のふすまのほか、ビリヤード室のランプ、座敷の欄間にはめ込まれていた装飾ガラスといった建物の一部や、広間に飾られていた美術品など約50点を展示する。
さらに市民が撮影した思い出の写真86点や、閉館時に立ち会った画家や現代美術家の作品などを含めると、計約200点を鑑賞できる。入場は無料で、会期は21日までである。
期間中には、作品を出展したアーティストや記録保存調査を行う専門家によるトークイベントや、茶会(参加料500円)も予定されている。地元船橋在住の油絵画家・瓜生剛さんは、解体時の現場に駆け付けた経験をもとに旅館をモチーフにした油絵を制作し、今回7点を出展している。
瓜生さんは解体時の調査にも同行し、その後に制作した作品5点を今年7月末からの公開制作で仕上げ、会場で展示するという。市教委の学芸員、益子実華さんは「玉川旅館をきっかけに楽しかった時の思い出を共有してほしい」と述べ、「文化財としての形は失っても、芸術などを通して街の記憶は未来につなげられる」と開催の意義を語っている。玉川旅館は結婚披露宴や同窓会などハレの日の行事でも使われ、地域の思い出の場であったことが資料からうかがえる。
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