笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記』（三五館シンシャ、2022年2月1日発行）を抜粋した記事は、東京ディズニーリゾートの現場での清掃対応とゲスト対応の実例を伝えている。筆者は57歳で入社し65歳で退職するまでの経験をもとに、楽しい面だけでないキャストの仕事の実情を描写している。

記事は、ポップコーンをこぼした中年女性ゲストへの対応例を紹介する。清掃キャストが現場で素早く清掃を行うと、ゲストは作業を見守り、作業終了後に「ポップコーンバケットを補充してもらいたい」と申し出たという。

その際に登場するのが「ピクシーダスト（PIXIE DUST＝妖精の粉）」というツールである。ピクシーダストの用紙にはティンカー・ベルのイラストが描かれており、ちょっとしたプレゼントを意味するリカバリー用の用紙としてキャストが携帯している。

キャストはピクシーダストにリカバリーしたい内容を書いてゲストに渡し、状況に応じてポップコーンバケットの補充などの対応を行うことがある。記事はこうした小さな配慮や仕組みが、現場の対応を支えている点を示している。