広島湾の似島を舞台に、港が損傷して航路が断たれた想定でドローンを使った物資輸送訓練が2日に実施された。

訓練では本土側の出島地区から似島へ、生理食塩水を模した重さ約14kgの水を搭載した機体を飛ばし、4.4kmの距離を時速約50km、10分ほどで飛行させた。ドローンは衝撃なく到着し、箱の中から水が取り出されたと報告されている。

似島側からは実際の血液検体を箱に入れて本土側まで運び、送られた検体は実際に検査にかけられ、フェリーを使った輸送と差異が出ないか検証された。背景には、能登半島地震で輪島市の舳倉島が海底の隆起により孤立し、復旧に1年以上を要した事例がある。

県内ではこれまで中山間地域での物資輸送訓練が5回行われてきたが、海上での輸送は今回が初めてだという。操縦は県が委託した民間企業が本土側でモニターを見ながら遠隔で行い、到着後の検証も含めて運用性を確認した。

広島県 危機管理課 立田正雄参事は「孤立集落対策は物資輸送が非常に重要で、ドローンも有効な手段のひとつだと考えている。もし今後こういう災害が起きた際には、ドローンも選択肢のひとつとして考えていきたい」と述べ、県は今後も市町や民間と連携して訓練を続ける意向を示した。